新型車いす 開発レポート
クルマと車いすの関係を近づけました
LVをさらに使いやすくするために開発したのが、新型車いすです。
オーテックと車いすメーカーのコラボレーションにより実現した、便利機能をご紹介します。
小さく折りたため、収納に便利
最近のクルマは座り心地を良くするために、シートを大きくし、足元スペースもゆったりととられています。その結果、ラゲッジフロアが狭くなり、「折りたたんだ車いすを収納する際、苦労する」という声が聞こえるようになりました。
そこで、オーテックが車いすメーカーと共同で開発したのが、新型車いすです。従来、ハンドリムが付いた自走式車いすの場合、折りたたんだ際の幅は330~340mmが一般的でした。それを300mm程度にしたい。それが今回の最大のテーマでした。そこで①ハンドリムとタイヤの間を可能な限り狭くする、②フレームの構造を見直す、といった細かい改良を重ねた結果、この課題を克服することができました。もちろん、新型エルグランドにも対応します。
クルマメーカーならではの配慮
加えてこの車いすには、クルマメーカーならではの、いくつもの配慮がなされています。
①車いすのひじ掛けの後方に、「切り欠き」を設定
車いすの方にシートベルトを掛ける際、介助者はベルトを何か所も通さねばならず、面倒でした。今回、「切り欠き」を設定したことにより、この作業が軽減されました。
②車いすヘッドレスト格納ステーを設定
ヘッドレスト付車いすの場合、「後ろの介助者と話がしたい」「周りの景色を楽しみたい」などといった際、ヘッドレストはじゃまになります。簡単に取ることはできますが、それをしまう場所がありませんでした。格納ステーを利用すれば簡単に格納できます。
③車いすの前輪幅を広くした
車いすの2つの前輪幅を広くすれば、当然走行は安定します。また、リフターから降ろす場合、前輪は180度回転する必要がありますが、その際、前輪が車いす固定装置に接触するケースがありました。今回、これまで直線だったフレームを斜めにすることにより、従来のものより60mm程度広くすることができ、この問題も解消しました。
④車いす固定装置のフック引っ掛け位置にマーキング
車いすによって、もっとも安定するフックの掛け位置は異なります。赤のマーキングをほどこし、ひと目でわかるようにしました。
いずれも、ちょっとしたことですが、これにより利便性は大きく向上したと考えています。今後も、より良好なクルマと車いすの関係を目指し、努力していきたいと思います。
(取材:2011年2月)